一人で観に行こうかと思っていたら、妻も行くと言うのでいっしょにシネウインドにでかける。モンサントというアメリカの企業に関するドキュメンタリーである。

映画『モンサントの不自然な食べもの』公式サイト
http://www.uplink.co.jp/monsanto/about.php

子どものころ大好きだったヒーローものにはだいたい悪者がいて、その目的は世界征服というのがお決まり。しかし、子どものころにも思ったものだ。「世界征服」して何が得なの? 何かいいことあるの? 未だに「世界征服」なんてどんなメリットがあるのか、よくわからない。でもこの映画に出てくるモンサントという企業は、本気で世界征服を企んでいるようだ。で、モンサントというのは実在の企業である。

モンサントはケミカル系の企業で、現在は各国で使用が禁止されているPCBの製造や、ベトナム戦争で使われた枯葉剤の製造で成長してきた会社。現在の主力商品は「ラウンドアップ」というよく知られた除草剤。

ラウンドアップの日本語サイト
http://www.roundupjp.com/

モンサントの次の戦略は「遺伝子組み換え作物」の開発と拡散である。すでに販売済みの商品に、除草剤ラウンドアップに耐性のある遺伝子組み換え大豆がある。ラウンドアップ漬けにした畑にラウンドアップ耐性のある大豆を植えると、その他の雑草は1本も生えずに大豆だけがすくすくと成長する。めんどうな雑草除去の作業がなく、合理的というのが言い分。草を枯らしてしまう除草剤が効かない大豆、その大豆って美味しいの? 食べても安全なの?

すでにアメリカで生産されている大豆の70%が遺伝子組換え大豆だと映画では語っている。映画の中で「緑の砂漠」と言っていたのが印象的だ。生命感のない抑揚のない緑が視界いっぱいに広がっている。そして始末の悪いことに、遺伝子組み換え作物が近くに植えられると、正常な遺伝子の作物も自然受粉で交配し、遺伝子組み換え汚染が発生する。

モンサントの世界征服のやり方は武器や暴力で世界征服するのではない。人間が生きていくのに必ず必要な”食糧”で支配するのだ。食糧の供給を牛耳って、食べものはすべてその会社から買わないといけない状況に持っていこうとしている。言うこと聞かないやつには食いもん売らないよ、というわけだ。

質の悪いことに、本来悪者を取り締まるべき立場である国家や行政機関もモンサントに肩入れしている。遺伝子組み換え作物は人間への悪影響が心配されている。多くの科学者が警告を発している。だが、国や行政機関はそういった科学者を露骨に排除している。庶民為す術なし。この世にヒーローはいないのか。

今日の上映には新潟大学農学部の伊藤亮司先生が、上映後に短い講演をしてくれた。配られたレジュメには「多国籍企業の世界戦略とTPP」と題があった。多国籍企業やアメリカが作ったルールを、TPPを利用して世界中に浸透させようとしている。すでに衆議院選挙は終わり、TPP交渉参加を前向きに考えている政権が生まれている。

以前、CSRセミナーの検討会で、企業のコンプライアンスに期待するのは限度があり、食のリスクを避けて自分や家族が安全なものを食べるには自給自足しかないよね、という話になった。10年ほど前だったが、当時は田舎で自給自足できれば確かに危険なものは食べなくて済むな、と考えた。だが、現状は危うい。自然交配による遺伝子組み換え作物汚染や放射能汚染が、目に見えなくても、ある。もはや自給自足でも食のリスクを確実に避けることはできず、食のリスクを軽減するに留まるというのが、地球の現実なのだ。

いつものシネ・ウインドで、今日はいわさきちひろの映画を観る。彼女の生い立ちを描いたドキュメンタリーだった。いわさきちひろの絵はなんとなく好きだったが、こんなふうに彼女の人生に触れたのは、初めて。あの独特な絵が生まれるまでの人生、紆余曲折は壮絶なものがあり、それらがあってあの作品が、と感慨深かった。

手塚治虫もそうだったが、あの世代の作家にとって戦争の影響はとてもとても大きいのだとわかる。私たちはそのことを肝に銘じるべき。先人たちがどんな思いで作品を残してきたのか。私が尊敬する丸木夫妻とか。

この映画を観て、いわさきちひろも丸木夫妻も、目指すところは同じ、ということがわかる。でも表現の仕方が違う。丸木夫妻の絵はとても直接的で激しい印象で観る人に迫ってくる。いわさきちひろの絵は可愛らしくふわふわやさしいタッチで観る人を癒してくれる。対極なのだが、さてどちらが多くの人に受け入れられるのだろうか。私は丸木夫妻の作品も敬愛しているので、決して彼らを悪く言うつもりはないが、「太陽と北風」のお話を思い出した。

「あめのひのおるすばん」は、今は持っていないが子供のころ読んでお気に入りだった。今になって、多くの絵本を私に与えたくれた母親にとても感謝している。

ピナ・バウシュ「夢の教室」:自分を表現する
妻の希望で今日はこの映画を、シネ・ウインドで。なんのつながりもなかった若者たちが集まって、目的も意味もわからぬままダンスを始める。最初は乗り気じゃなかった人も、少しずつダンスを通して自分を表現することの素晴らしさに気づいていき、仲間とともに大きなことを成し遂げる。アイデンティティの確立の過程のほんの一端とその結果が断片的に描かれているだけ。技術的なことは一切なし、感覚的な映画で、私の体と心にすーっと入ってきた。自分と同じことを考え、さらに実践して素晴らしい成果を創りあげていることを目の当たりにして、素直に嬉しかったし、勇気づけられた。

思い返してみると、今までの職場のうち、こんな雰囲気になったことが何度かあった。あるゴールに向かって個々が表現し、はじめは一見バラバラなのに、次第に連帯感、信頼感、そして誰に言われたわけでもないのに一人ひとりに責任感が生まれ、一つの大きな形になる。これがクリエイティブの醍醐味。ピナ・バウシュにあたるポジションは非常に重要。映画でもピナ・バウシュは表に出てこないし、発信してないように見えるが、でもできあがったものは明らかにピナ・バウシュの世界なのだ。

とにかく、映画の中でダンスに参加した子どもたちの表情の変化、成長ぶりにはワクワクドキドキ。ルックスがどうのこうのではなく、一人ひとりが輝いてカッコよくて可愛くて、見とれてしまった。人間は磨けば光る。それは教育の成せる技だ。

富田克也監督の「サウダーヂ」が話題になっていて、私も観たいと思っている。富田監督の前作「国道20号線」も気になっていたところ、シネ・ウインドで上映決定。「サウダーヂ」より先に「国道20号線」を昨日、観た。

「国道20号線」オフィシャルサイト
http://www.route20movie.com/

いっしょに観に行った妻は観終わったあと、国道20号線というからロードムービーかと思った、と話していた。観ていて、すごくもどかしい感覚に襲われる。前に進みたい、どこかへ行きたいけど、動けない感じ。すごく現実的ではない? そんなリアルな地方都市の日常風景の一コマを切り取った、そういう映画。中身はしんどいしツライし切ない。この映画の絵描く現実は極端な話かもしれないし、実はよくある話なのかもしれない。

観終わってから、国道20号線って甲州街道のことじゃん、世田谷に住んでいたころは新宿から帰るときによく通った道だったことにやっと気がつく。身近にあっても気がつかない国道20号線。映画が描く現実も、意外に身近にあっても気がつかないで通り過ぎているのかもしれないと思った。

そして今日、クルマでラジオを聴いていたら、あがた森魚の「赤色エレジー」が流れてきた。「国道20号線」をラブストーリーととらえると、「赤色エレジー」を思い出すなぁ、なんて思っていたときにこの曲を耳にするとは。偶然だけど、こういうのってどっかつながっているのだ。次は「サウダーヂ」だ!

映画「UNDERGROUND」を観た
あちらこちらで評判、賞賛の声をちらちら見かけたりしてずーっと前から心のどこかで気になっていた映画が「アンダーグラウンド」。新潟にはシネ・ウインドというとっても素敵な映画館があって、11月のレイトショーがこの映画。絶対見逃したくない!と思いつつなかなか都合がつかなかったが、やっと最終日、ありつくことができた♫

この映画の感想なんて、すぐには出てこない。ちょっと言葉では言い表しがたい。たぶんこの映画を観た人、100人いたら100通りの"何か"を、それぞれの心のなかに生み出しているだろう。そういう意味でこれはアートと言える映画だと思う。

ひとつ、私が言葉にできるとすれば、ユーゴの内戦を生きてきた人、そして世界中で戦争の中に生きている人たちにとって、「アンダーグラウンド」は直面している現実の姿なのだということ。日本人の私はその現実がいまいち肌身に感じることができない。観る人が観れば共感しまくりで、号泣しながらこの映画を観るのではないか。それと大事なのは、辛くチリチリ痛い現実だけど、悲観してないこと。だから人の心を揺さぶるのだ。

「アンダーグラウンド」を観ていると、いろんなものが脳みそのひだひだの間からほじくり返されてくる。最初の書類にマチェックという名前があって「灰とダイヤモンド」を思い出し、「俺たちに明日はない」のスピード感と「時計じかけのオレンジ」の狂気と「未来世紀ブラジル」の不条理さを覚えながら映像に浸る。ナタリアが「未来世紀ブラジル」のシャーリーとかぶって見えてしまってしょうがない。お願いだからその手にしたハイヒールを頭に載せたりしないでね、とハラハラしながら観てしまった(笑)。

戦場に突然現れる白馬で「ブラック・ムーン」のユニコーンを思い出したり、燃える車椅子の炎を見て「グッドモーニング・バビロン!」の白い象が燃える炎を連想したり。果てはトム・ウェイツの「In The Neighborhood」を、そして空想が織り込まれたような現実の表現方法にガルシア・マルケスを思い出したり。いっしょに観た妻も、なんか今まで観たことあるようなと言い、やはり映像も音楽も既視感があったようだ。とにかく刺激されっぱなしの3時間。自分に子どもがいたら観せたい映画の中の1本となる。


寒い…

2001年1月25日 映画
戦争映画、のベスト…

戦争映画って、絶対絶対、カッコよく描いたり、美化したり
しちゃいけないと思う。んー、「トップガン」とか、最悪だったな。
あれ、敵機のミグをF5Eタイガー?か、T38タロンで代用していた。
多分、ミグつーのは、ミグ21フィッシュベットとかを想定しているん
だろうが、最低なプロデューサーですなー。東側の機体が
手に入らないなら、あーゆー映画は作っちゃいかん。もう
映画とも言えないシロモノ。なんだろ、お金のかかったお遊び。
あと、戦争をカッコよく描いているのも、最低。唾棄すべき作品。
こういう戦争映画、多くて、ムカつく。

「ディア・ハンター」
ベトナム戦争の映画って、なんかブームになった。第一次とか
第二次とかいって。特にアメリカにとっては印象深い歴史なのか。
戦争映画のベスト、これだと思う。最後のロシアンルーレットの
あの瞬間、号泣した。アメリカでの試写会では、館内が
阿鼻叫喚、凄まじい泣き声、怒号でいっぱいになったそうだけど、
そうだろな。私もそうだった。忘れられない忘れられない映画。
淡々とした前半と、だんだん緊張が増してくる後半、どんどん
知らず知らず引き込まれていった。前半、眠くなるくらい、
平穏なのが、演出のミソ。ロバート・デ・ニーロが相変わらず
すばらしい。

「西武戦線異常なし」
レマルクの原作が好き。映画も、ぐー。どんどん同僚が
いなくなっていく。最後のシーン、今でも私の頭の中に映像がある。
別にドンパチやってたわけじゃない。小鳥?のデッサンだったっけ。
そしてたった一発の銃声。戦争の本質がここのシーンに集約
されている。異常なし、なのよね。

「キリングフィールド」
えっとえっと、アカデミー助演男優賞を取った、彼、名前忘れた。
すばらしい役でした。あの映画、彼のもの。臨場感がすごかった。
あーゆー場所で、いかに人間の命がちっぽけで、毎日毎日
生きた心地がしなくて、やたらと緊張して、それでいて
生きている実感がない、その精神状態がちょっとだけでも
垣間見れるすごい映画。私はマイク・オールドフィールドの
音楽が先だった。彼の音楽が好きで、映画も観に行った。
なんつっても、タレガの「アルハンブラ宮殿の思い出」を
カバーしている、あの曲が最高だった。でも映画では最後の
テロップの後ろで流れているだけで、不満。ちなみに、映画の
ラストはダメ。あの終わりは恥ずかしい。「イマジン」、
いいんだけど、ええー? そりゃないでしょ、きゃー、
恥ずかしい、赤面しちゃう、と私はなった。

ほかにもあったような気がするな。大事な映画。
昨日の彼の去年のベスト! 「マグノリア」。
「ブギーナイツ」の監督の作品らしい。名前しか。
アメリカの映画かー。でもよさげだ。

一昨年は「黒猫、白猫」だって。観たかったな。
そうそう、私は「アンダーグラウンド」も見逃している
のよねー。去年だったか渋谷の映画館で特集していた
のにー。あのときは「みつばちのささやき」を観て満足
してもうた。アナちゃん、最高♪

そうだ、美少女万歳!な映画♪
「ワンス・アポンナ・タイム・イン・アメリカ」のジェニファー・コネリー
は確かに宝物。ナタリー・ポートマンは非の打ち所のない美形。
個人的にはローラ・ダーン。「裸足のピクニック」の芹沢砂織。
「打ち上げ花火」の奥菜恵。でもやっぱり。

「青いパパイヤの香り」
えっと、トラン・アン・ユン監督だっけ? 彼の処女作。
少女ムイ。最高。なんつーか美形つーのと違うけど、
すごい惹かれる。イノセント度はナンバーワン。イノセント
というか、もうそんな言葉では言えないくらい真っ白。
純真。映画もすばらしい。ドビュッシーの「月の光」…。
あー、この映画に優るものってあるのかしら…。
ちょっと乱暴に言えば、ベトナム版「マイ・フェア・レディ」(笑)。
最後の黄色いドレスが鮮やかに私の脳に刻まれている。
つまり、青い果実が熟れたってことなのね…。
ごちそうさま♪

「みつばちのささやき」
世界中でアナ・フィーバー(爆)が起きたのは、記憶に新しい。
まーいーや。なんつーか、もう言わずもがなの美少女。
その美しさは大学の研究の対象にもなってるもんなー。
彼女の瞳はすんごい。吸いこまれそう。あーん、きゃわゆい。
彼女はイノセントじゃないよな。と思う。えっと「カラスの死」
だったっけ。特にあっちではかなり小悪魔って印象。

「ロッタちゃんはじめてのおつかい」
いろいろ考えたが、これは書きとめておこう。ばびに
怒られちゃう。確かにロッタはかわいい。理想の女のコだ。
プラチナブロンドもいいね♪ あの映画は特にフィンランドとか
北欧の豊かな社会というものを観ることができたような感じ。
あれほど子供中心の社会って、すごいうらやましい。理想
だと思う。私の子供もロッタみたいな女のコに育って欲しいな。
いやー、仕事の行き帰りの電車が怖い。
ずっとずっと考えている。大きな大きな暗闇の底に
続いているような大きな穴があって、私はその淵から
その底を見極めようとしているかのよう。考え始めると
そういう感じ。これ、落ちていくと気持ち良さそうだなっても。
多分絶対絶対底に着かないで落ちつづけるんだと思う。
そうすると多分、もう無重力状態。ずっとずっとふわふわ
漂う存在になるの。よさげだ♪

新しい職場で、なにげに映画好きなやつを見つけた。
話が合った。去年の映画でベストを挙げろ、と聞かれて、
私は2つある、「オール・アバウト・マイ・マザー」と
「初恋がきた道」と言った。彼はえっと、なんだったっけ。
あ、忘れた(笑)。でも彼も「オール・アバウト・マイ・マザー」
がベストでもある、って言っていた。アルモドバルはいいねー。
彼に言わせると、「オール・アバウト・マイ・マザー」は、ほんとは
女性じゃないとその真髄を味わえないんだろう、と言っていた。
そうかな。これから観たい期待の映画、「パン・タデウシュ物語」
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」というところでも意見が一致した。
アンジェイ・ワイダ監督の「パン・タデウシュ物語」は、いやー、
これを見逃してはイカンだろ。映画ファンとしては。私が
所属しているグループのリーダーは、若手に「灰とダイヤモンド」を
観ることを課題としているのだそうだ。なかなかの人格者だ(笑)。

前夜

2001年1月8日 映画
今度の3月で、ケイコとの結婚生活も丸4年、かな。

忘れられない映画・生き残る映画・SF編

「ストーカー」
SF映画なのか。SFなのよね。まー、SFなんていうジャンル自体、
あまり言葉として意味を持たない感じがするけど。タルコフスキー、
大好き! 生涯7作品しか作ってない。ってこの前テレビで見た。
へー。彼の映像は芸術よねん♪ 「ストーカー」の映像の緊張感、
凄まじい臨場感と説得力。CGなどを駆使したSFXでは絶対
味わえない感覚。SF映画はこうじゃなくちゃ。

「未来世紀ブラジル」
空想の世界を描く1つの手法として、これはあり。非常に
のめりこむ。キッチュってすごい惹きつけられるのだが、
それもあのエンディングで納得。私、観念論が大好きだから、
あれはよかった。最高のエンディング。ある意味、
あの終わり方はなんでもアリの反則技にもなってしまうのだが、
それをすばらしい演出で観るものに違和感を感じさせない。
ロバート・デ・ニーロが笑えたなー♪

「CUBE」

2001年1月2日 映画
一昨年だっけ、なくなる寸前の六本木シネヴィヴァンで上映
された「CUBE」。私は観たかったのだが、結局見逃していた。
沼津で年越ししていたら、なにげにテレビでやっていた♪

満足。やっぱり大きなスクリーンで観たかったな。
突拍子もない設定でありながら、考えられた、練られた
演出で、すさまじい説得力と緊張感が存在した。
感覚派ではないけど、私も納得。こういう映画は
もっと人気になっていいと思うけど、日本では受け入れられない
のよね…。残念だ。日本人、つくづく自分の頭で
考えることが、キライよねー…。

さて、今週は金曜日にBSで「トレインスポッティング」もやる!
久しぶりだなー。ユアン・マクレガー♪ そういえば、
「ブラス!」もテレビでやるんだっけ? うーん、20世紀から
持ちこむ映画ベスト10、どんなもんかな。

「天井桟敷の人々」
「ライムライト」
「ディア・ハンター」
「ブラス!」
「オール・アバウト・マイ・マザー」
「灰とダイヤモンド」
「初恋のきた道」
「青いパパイヤの香り」
「ジャイアント」
「シベリア物語」

うーん、やっぱジャンルわけして選ぼっと。
ほんとは日本の映画も選びたいところだが…。
なかなかないよなー。「ゆきゆきて、神軍」を
観てないからかな。
エンゾが言う。
「水の中の方が、陸よりいい」
この映画の男たちはみんなまだ母親の子宮から出てこれない
でいる。いつまでも母なる海の中で快い夢を見ている。

この映画、こんなにコワイ映画だったっけ?
うー、コワイコワイ。笑えないし、泣けない。
男と女をこんなにくっきり描いてしまうとは。
いつまでも夢の中にいる男と、どこまでも現実的な女。

それにしても、ここまで人間を美化してもいいんかな。
ちょっとしらけた。人生とか夢とか、うー、実際には
そんなに美しいものじゃない。

でも、グラン・ブルーのラストは
身震いしてしまうほど、気持ちがいい。快感。
夜の真っ暗な海中。ターミナルのライトをONにする。
真っ暗な海の底に向けてのダイブ。水中を沈んでいく
ライトが、美しい。今、そのイメージを想像しただけで、
胸が快感でうずく。そして、静かで、暗い水中からの
誘い。あのイルカは私には悪魔に見える。すべての
苦しみから解放してくれる、快感だけの世界に導いて
くれる、悪魔…。

数年振りに観るグラン・ブルーは、いろいろ考えることが
できて、楽しかった。前に観たときと自分がいかに
変化しているかも、実感した。ニューヨーク娘はカワイかった。
前はへんちくりんな女だなって思ったけど。女性を見る
目が肥えたんだな〜。顔が小さくて、なまいきそうで、
知的で、それでいて幼い。カワイイ。あれで胸さえ小さければ
ベストだったけど。

最後にジャン・マルク・バールが潜るときに、フックを
ニューヨーク娘が外す。あれは、ウソっぽいなー。あれは
映画だよなー。あーゆーことできる、女性ってほんとにいる
のかな? 女性の鏡だと思うけど。男性の理想とする女性の
鏡(笑)。あそこらへんが、リアルさや説得力を欠いていると
今回、強く感じた。

あーん、忘れられない映画。なんにしても。うーん。
ハリウッドに行って堕落したリュック・ベッソン(笑)。
まるでアルフレッド・ヒッチコック(笑)。ヒッチコックに
失礼かな〜。

明日の「アラビアのロレンス」、観れるかなー。
お墓参りをしてから、時間があるかどうか。
昼間だもんなー。

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索