映画「UNDERGROUND」を観た
あちらこちらで評判、賞賛の声をちらちら見かけたりしてずーっと前から心のどこかで気になっていた映画が「アンダーグラウンド」。新潟にはシネ・ウインドというとっても素敵な映画館があって、11月のレイトショーがこの映画。絶対見逃したくない!と思いつつなかなか都合がつかなかったが、やっと最終日、ありつくことができた♫

この映画の感想なんて、すぐには出てこない。ちょっと言葉では言い表しがたい。たぶんこの映画を観た人、100人いたら100通りの"何か"を、それぞれの心のなかに生み出しているだろう。そういう意味でこれはアートと言える映画だと思う。

ひとつ、私が言葉にできるとすれば、ユーゴの内戦を生きてきた人、そして世界中で戦争の中に生きている人たちにとって、「アンダーグラウンド」は直面している現実の姿なのだということ。日本人の私はその現実がいまいち肌身に感じることができない。観る人が観れば共感しまくりで、号泣しながらこの映画を観るのではないか。それと大事なのは、辛くチリチリ痛い現実だけど、悲観してないこと。だから人の心を揺さぶるのだ。

「アンダーグラウンド」を観ていると、いろんなものが脳みそのひだひだの間からほじくり返されてくる。最初の書類にマチェックという名前があって「灰とダイヤモンド」を思い出し、「俺たちに明日はない」のスピード感と「時計じかけのオレンジ」の狂気と「未来世紀ブラジル」の不条理さを覚えながら映像に浸る。ナタリアが「未来世紀ブラジル」のシャーリーとかぶって見えてしまってしょうがない。お願いだからその手にしたハイヒールを頭に載せたりしないでね、とハラハラしながら観てしまった(笑)。

戦場に突然現れる白馬で「ブラック・ムーン」のユニコーンを思い出したり、燃える車椅子の炎を見て「グッドモーニング・バビロン!」の白い象が燃える炎を連想したり。果てはトム・ウェイツの「In The Neighborhood」を、そして空想が織り込まれたような現実の表現方法にガルシア・マルケスを思い出したり。いっしょに観た妻も、なんか今まで観たことあるようなと言い、やはり映像も音楽も既視感があったようだ。とにかく刺激されっぱなしの3時間。自分に子どもがいたら観せたい映画の中の1本となる。


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