自彊寮の日常を思い出しながら書いてみる。もう記憶が定かでなく、間違いも多いと思う。だが、今まですっかり忘れていた記憶の底に眠っていたものを、少しずつたぐり寄せて書いてみるという作業は、思いのほか楽しい。

自彊寮の1日は日直(と言ったと思う)の「起床ー! 起床ー!」という大声で始まる。朝7時、日直がドタドタと廊下を走りながら寮内を駆け巡る。狭い寮内、日直が走りまわると、建物もボロなものだからバタバタギシギシ、うるさいことこの上ない。この号令で起きた寮生はそれぞれの部屋からぞろぞろと出てきて、玄関から外に出る。朝の体操である。寮の前の公道は元みどり学園につながる行き止まりの道路で車通りはほとんどない。その道路で毎朝30人弱の寮生が整列し、体操をする。たしか部屋の番号順に並び、朝の点呼を兼ねていた。体操はラジオ体操とはちょっと違っていたと思う。雨の日はやらなかったか、雨の中の体操は記憶がない。

体操の後、今度は食堂にぞろぞろと入り、一斉に朝の食事。食事が済んだら順次、部屋に戻り、登校の準備。寮から学校まで自転車で10分程度。ホームルーム開始が8時40分だったと思うので、寮生はだいたい8時15分ごろ寮を出た。日直が8時半前に玄関のカギを閉め、最後に調理場の勝手口から出て行く。平日の昼間は玄関はカギが閉まっているので、遅刻したり早退した寮生は、勝手口から出はいりすることになる。

授業が終わって、早い寮生は午後4時前くらいに戻ってくる。最初に帰ってきた生徒が勝手口から入り、内側から玄関のカギを開ける。一高生は部活するのが基本だから、早く寮に帰ってくる人間はそれほど多くない。午後6時ごろが帰寮のピークか。晩飯は7時ごろから出されたと思う。夜は朝のように一斉ではなく、好きな時間に食べていたはず。最後は9時くらいで、それまでに「残しておいて」などの連絡がない分は、食べたい人間が食べてしまっていたように記憶している。

風呂は1日置きだったか。今日が部屋番偶数だったら、明日は部屋番奇数が風呂の日、といった具合。特に広い風呂場ではなく、一般家庭の風呂と同等。そこに2人ずつ交代に入ったと思う。出た人間が次に声をかけるようになっていたはずだが、詳しいシステムは覚えてない。一覧表があって、誰が入って誰が入ってない、とわかるようになっていたような気もするが。また、夜になっても帰ってこない寮生もいたはずなので、そこらへんどういう順番で回していたか。よく覚えていない。

夜10時に点呼。時間になるとまた日直の号令があり、自分の部屋の扉の前で立って宿直の先生の点呼を待つ。これでいちおう1日おしまい。消灯はなく、この点呼の後、各自、自室で机に向かって勉強する、のが一般的な良い寮生。点呼の後、すぐに娯楽室に行くのは気が引ける感じだったので、私もまずはおとなしく自室に戻り、頃合いをみて娯楽室に移動していた。

日直は3年生は免除だったような気がする。私は3年になってからの入寮で、最初のうちは日直やっていたはず。「起床ー!」と叫んで寮内を巡った記憶はある。その後、私も免除になったような。その他、トイレ掃除当番、風呂掃除当番もあった。これは部屋の順番に巡ってきた。私は前述のとおり、ほとんど一人部屋で過ごしたので、一人部屋の気ままさの代わりに掃除当番は一人でやらなくてはならなかった。ぜんぜん苦ではなかったが。


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