LTCMとリーマンの破綻
2008年9月26日 お仕事ちょうど10年前、1998年の9月、ヘッジファンドであるロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)が破綻危機に陥った。今年の9月15日には投資銀行のリーマン・ブラザーズが破綻。この2つを比較するような話は見かけてないが、いくつか共通点があるような気がする。
一方は投資銀行、一方はファンドだが、業務内容は重なる。投資銀行は、株式や債券発行、M&Aコンサルティング、不動産やローン債権の証券化業務、有価証券や金融派生商品のトレーディング業務など多岐にわたる。LTCMなどファンドは、これらのうち最後のトレーディング業務に特化したものと考えていいだろう。
リーマンは、その破綻によって金融システム全体が機能しなくなる可能性があるほど、大きなデリバティブ取引のポジションを持っていたという。10年前のLTCMもさまざまな市場で膨大なポジションを抱えていた。LTCMが行っていた、自己資本に何倍ものレバレッジをかけた大きな利益を得られるような投資は、損失が出るときにもレバレッジが効いて、あっという間に自己資本を食いつぶす。そしてその膨大なポジションゆえに、1つのファンドの破綻が金融システム全体に影響する怖れがあった。
10年前と今回の破綻劇へのFRBの対応が似通っている。リーマン破綻の際、FRBは金融大手各社の幹部をニューヨーク連銀に集めて、民間他社によるリーマン買収の可能性を探った。さらにそれが無理だとわかると、民間金融機関がリーマンの不良資産を共同で買い取れないか、検討したという。LTCM破綻危機の際にも、FRBの仲介により普段は競争相手である金融大手各社が集まり、LTCM支援のためのコンソーシアムが結成された。同時に、ウォーレン・バフェット支配下のバークシャー・ハサウェイによるLTCM資産買い取り案件も進行した。
結局、LTCMはコンソーシアムによって支援され、ソフトランディングした後、清算され消滅。リーマンは支援されることなく、即破綻。10年前も今回も、FRBの一番の、そして唯一の懸念は広範囲にわたる“システミック・リスク”だ。ある破綻をきっかけに市場が大混乱し、その果てに機能を停止する状態。それだけはなんとしても避けなければならない。
FRBなど金融監督当局は、リーマンの破綻が金融システムの安定にとって決定的な問題とはならないと判断し、救済措置をしなかったのだろうが、その判断に至るまでには、10年前のLTCM破綻危機の経験が持ち出されたかもしれない。どれくらいの規模の破綻がどれくらいの市場混乱を起こすのか、また公的機関が一民間企業を救済することの意義、影響など。
LTCM破綻危機の際のFRB介入には、ほんの一握りの富豪が投資するヘッジファンドをなぜ公的機関が救済しなくてはならないのかと、批判が集まった。LTCMの場合“大きすぎると潰すことができない”を地でいくような感じ。
リーマンはそれほど破綻規模が大きくなかったのか。でもAIGは? ベア・スターンズは? 新聞などではそれぞれが抱えていたクレジット・ デフォルト・スワップ(CDS)のポジションが大きすぎたから救済されたと解説したりしている。一般人にはよくわからないことばかりだが、10年後にはこの2008年金融危機についてつまびらかにされているか。
一方は投資銀行、一方はファンドだが、業務内容は重なる。投資銀行は、株式や債券発行、M&Aコンサルティング、不動産やローン債権の証券化業務、有価証券や金融派生商品のトレーディング業務など多岐にわたる。LTCMなどファンドは、これらのうち最後のトレーディング業務に特化したものと考えていいだろう。
リーマンは、その破綻によって金融システム全体が機能しなくなる可能性があるほど、大きなデリバティブ取引のポジションを持っていたという。10年前のLTCMもさまざまな市場で膨大なポジションを抱えていた。LTCMが行っていた、自己資本に何倍ものレバレッジをかけた大きな利益を得られるような投資は、損失が出るときにもレバレッジが効いて、あっという間に自己資本を食いつぶす。そしてその膨大なポジションゆえに、1つのファンドの破綻が金融システム全体に影響する怖れがあった。
10年前と今回の破綻劇へのFRBの対応が似通っている。リーマン破綻の際、FRBは金融大手各社の幹部をニューヨーク連銀に集めて、民間他社によるリーマン買収の可能性を探った。さらにそれが無理だとわかると、民間金融機関がリーマンの不良資産を共同で買い取れないか、検討したという。LTCM破綻危機の際にも、FRBの仲介により普段は競争相手である金融大手各社が集まり、LTCM支援のためのコンソーシアムが結成された。同時に、ウォーレン・バフェット支配下のバークシャー・ハサウェイによるLTCM資産買い取り案件も進行した。
結局、LTCMはコンソーシアムによって支援され、ソフトランディングした後、清算され消滅。リーマンは支援されることなく、即破綻。10年前も今回も、FRBの一番の、そして唯一の懸念は広範囲にわたる“システミック・リスク”だ。ある破綻をきっかけに市場が大混乱し、その果てに機能を停止する状態。それだけはなんとしても避けなければならない。
FRBなど金融監督当局は、リーマンの破綻が金融システムの安定にとって決定的な問題とはならないと判断し、救済措置をしなかったのだろうが、その判断に至るまでには、10年前のLTCM破綻危機の経験が持ち出されたかもしれない。どれくらいの規模の破綻がどれくらいの市場混乱を起こすのか、また公的機関が一民間企業を救済することの意義、影響など。
LTCM破綻危機の際のFRB介入には、ほんの一握りの富豪が投資するヘッジファンドをなぜ公的機関が救済しなくてはならないのかと、批判が集まった。LTCMの場合“大きすぎると潰すことができない”を地でいくような感じ。
リーマンはそれほど破綻規模が大きくなかったのか。でもAIGは? ベア・スターンズは? 新聞などではそれぞれが抱えていたクレジット・ デフォルト・スワップ(CDS)のポジションが大きすぎたから救済されたと解説したりしている。一般人にはよくわからないことばかりだが、10年後にはこの2008年金融危機についてつまびらかにされているか。
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