数学の音楽
今日の一曲
Einstein on the Beach/Philip Glass
二十数年前、NHK-FM「数学の音楽」というようなテーマの音楽番組で初めて聴いた。ゲストは坂本龍一。世の中にこんな音楽あったのかー、と即ハマる。坂本龍一は番組の中で、この曲の気に入った部分だけ繰り返し繰り返し、最後にはレコードの溝がなくなるくらい聴いた、と語っていた。私は番組をエアチェックしたカセットテープを繰り返し繰り返し、テープが伸びきってしまうくらい、というのは大袈裟だが、やはり何度も聴いた。

当時まだ中学生だったと思うが、私の感覚、センスにビタッときた音楽で、とても興奮した記憶がある。思い返してみると、私は小さいころからピアノの練習曲、ハノンが大好きで、単純な練習曲を何時間も弾き続けて、独りトランス状態を楽しんでいたことがあったような。そういう子どもだった。

その10年後くらい、1992年、天王洲アイルのアートスフィアでこのオペラ「浜辺のアインシュタイン」を観ることができた。白のブラウス、サスペンダー、汽車、宇宙船……。アインシュタインを連想させるモチーフがステージに“無造作”に配置される。そこにはストーリーはなく、観客はそれらモチーフを眺め、大音量の音楽に包まれて、何かを感じるのだ。

大音量で繰り返される幾何学的なフレーズ。そしてオペラ全体の構成にアクセントをつける、場面転換のニープレイ。上演時間は4時間以上に及ぶ。延々と、淡々と(でも大音量)演奏されるオペラだが、最後のニープレイ、公園のベンチでのある恋人たちのシーンはドラマチック。それまでの展開から一転して、生身の人間を感じさせるような。バイオリンソロの旋律がとても艶かしく感動的で、思わず涙を流した。

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