プロ野球ニュースでの谷沢氏の苦言。オリックスのカブレラが4試合目にして今シーズンの初ヒットを打ち、1塁ベース上で楽天のフェルナンデスと談笑しているという場面。カブレラとしてはやっと打てた初ヒット、そして逆転タイムリーだったので、嬉しいと同時にほっとした部分もあるだろう。天に向かって手を合わせるしぐさもあった。フェルナンデスもニコニコ顔。この談笑シーンを谷沢氏は非難した。

この2人は今は敵同士。以前、同じチームで同じスペイン語を話す仲間として気安さがあるのだろうが、真剣勝負の試合の最中だから、たしかに違和感がある。楽天から見れば、リードを守れず逆転されてしまった場面。ほんとは苦しいところなのだが、フェルナンデスの笑顔はちょっと緊張感にかけるかなーと、谷沢氏の苦言も当然だと思う。大袈裟に言うと、ファンに不信感を与えてしまいかねない雰囲気さえあった。

大相撲でも気になることがある。最近、本場所の支度部屋の雰囲気が変化してきているとのこと。もちろん、私自身が取材をしてきたわけじゃないのだが、いろんな報道や記事を読んだりして私が心配していることがある。それは、本場所の支度部屋のピリピリした緊張感が薄れて、ちょっと緩んだ空気がある?ということ。大相撲本場所の支度部屋は、これから闘いの場に出るための準備をするところで、想像するに非常に緊張感漂う場所だと思う。勝つために集中力を高めたり、体を暖めて準備したり。

ところがそういう支度部屋が力士同士の交流の場になっているような節がある。去年もまた八百長疑惑が取りざたされた。以前は本場所の支度部屋で、東と西に分かれたら、お互い行き来をすることはあまりないと聞いた。今は東と西を行ったり来たりして挨拶したり、おしゃべりしたりする力士がいるとのこと。去年の八百長疑惑の際には、そういう東と西の支度部屋を行き来して、いろいろ立ち回っていたようなモンゴル人力士に疑惑の目が向けられていた。部屋が違うとなかなか会えず、力士が集まる本場所なら久しぶりに会えるので、支度部屋が違っていてもわざわざ会いに行った、というある力士のコメントも記憶にある。

大相撲は部屋制度があるので、同じ部屋に所属していれば親兄弟も同然。本場所では同部屋の取り組みはない。部屋制度はよくできていると思う。同じ部屋の力士とは闘うことがないので、兄弟子は弟弟子に自分の相撲技術のすべてを伝授することに躊躇がない。それに同じ部屋の力士が強くなると、本場所で自分の地位向上、星取りの面で有利に働く。だから相撲が強くなるための情報は部屋の中では共有するし、逆に他の部屋とは一定の距離を置こうとするのが当然。部屋同士の競争で切磋琢磨し、真剣勝負を繰り広げる。それが大相撲なのだが、違う部屋の力士同士があまりに仲の良い態度だと、あれ?と感じてしまう。

現在、モンゴル人の力士が幕内にけっこう多いが、例えば朝青龍と安馬はとても仲良し(?)らしい。2人は部屋も違うし、一門も違う。そういう面では近い存在ではないが、やっぱり同郷同士は集まるだろう。それはわかるが、初場所で朝青龍が白鵬に負けて優勝を逃したとき、安馬は泣いて悔しがった、と新聞に載っていた。これには違和感があった。個人的に仲が良くて慕っているとしても、部屋単位で競い争う大相撲というシステムからすると、朝青龍の負けを泣いて悔しがるという安馬の姿は、ファンとしてはなぜ?と思ってしまう。

スポーツという枠組みの中での敵味方なのだから、敵同士でも仲良くしても、ぜんぜん問題ないと思う。試合では真剣勝負であればまったく問題ないと思う。ただ、プロスポーツは観る人がいて成り立つものだし、観る人が誤解をしてしまうような立ち振る舞いは、どうかと思う。プライベートで仲良くても試合ではライバル。それでいいのだが、真剣勝負の場でも敵同士の笑顔や談笑が目撃されちゃうのは、プロフェッショナルとして気をつけたほうがいいのではないか。

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