WBC世界一

2006年3月21日 野球
イチローの「“向こう30年 は日本に手は出せないな”という感じで勝ちたいと思う」という発言から始ったようなWBC2006。彼の発言で、アジアのライバルは燃えたし、それを受けて日本チームも気を引き締めたと思う。スポーツは勝負。勝ち負け。そういうイチローの真剣さがみんなに伝わったと思う。またあの発言の何割かはイチローの大会への演出だっただろう。

今回の大会を通して強く感じたのは、まだまだ野球はスポーツとして若いということと、それゆえの今後のさらなる成長の可能性だ。日本にいると野球はすごい成熟しているようにも感じられるが、WBCに参加した国はわずか16カ国。ワールドカップサッカーと較べるべくもない。集まった国のレベルもまちまちだった。プレーとは別問題だが、審判の問題、運営の問題も露呈した。それでも観ている人は試合を見て感動して、涙を流して、熱狂した。

野球がまだ全世界に広まってない理由は、難易度が高いこと。ボールを投げる、ボールをグローブで捕る、ボールをバットで打つ、という3つのまったく異なった基本技術を身に付けないとできない。サッカーはボールを蹴る、受け止める、という技術。でも道具は使わない。テニスはラケットという道具は使うが、基本的にはボールをラケットで打つという技術のスポーツだ。野球はグローブとバットという2種類の道具を使いこなさなくてはならない。あらためて考えると、これはスポーツとしてかなり敷居が高いと言わざるを得ないだろう。

もう1つ。野球のこうした道具や設備にコストがかかること。今、世界中の大半が発展途上国といわれる国であり、多くの人々が貧困で苦しむ時代である。そうした国々の子どもたちが生活に余裕がなく、野球に触れることができないのが、現実である。それがWBC2006の参加国数にも現れている。

でもだからこそ今後の可能性も感じるし、楽しみでもある。ワールドカップサッカーには数十年、遅れをとったが、WBCも一歩を踏み出した。そして世界中が紛争などによる身の危険や飢えに脅かされず、人々の生活が豊かで平和に満ちているものになれば、希望をもってスポーツに打ち込めるような時代になるはず。野球は多くの子どもたちを魅了して裾野が広がり、WBCにはもっともっと参加国が集まり、素晴らしい大会になるだろう。また、私たちはそういう地球を目指さなくてはならない。WBCは世界の平和の象徴になるのだ。

野球が限られた地域でプレーされるスポーツから全世界に広まれば、今まで私たちが当たり前と思っていた野球から、またびっくりするような革新があるかもしれない。20年ほど前、サッカーではアフリカ勢の台頭があり、その卓越した身体能力で驚くべきプレーを披露した。野球も楽しみである。

日本が世界一になったあと、テレビで各局のスタジオに招かれた王監督のインタビューが流れた。王監督は非常に穏やかで満足した表情をしていた。子どものころ、王選手のホームラン世界記録を見て、ホークスでの成功を目撃して、そしてまた世界一をファンに贈ってくれた。彼と同じ時代に生きて、ほんとによかったなーと思った。

でも、3月に満足してないで、今年こそホークスで日本一、アジアのトップを奪い取ってくれないと。川?、松中、馬原、杉内、和田の世界一メンバーがチームにこの財産を持ち帰って、必ず今年こそ勝利を。ホークスでV9を越えなくては。

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